高圧電力の解説
定義キュービクルメリット問い合わせ

このページでは、高圧電力について解説しています。

名称の通り「高い電圧」で供給されるのが高圧電力で、中規模の施設で多く利用されています。供給形態や料金も含め、低圧電力と比べて様々な違いがあります。

高圧電力とは

高圧電力の定義は、法令により以下のように定められています。

高圧 直流にあっては七百五十ボルトを、交流にあっては六百ボルトを超え、七千ボルト以下のもの

電気設備に関する技術基準を定める省令 第二条二項

日本国内の電力は、供給される際の電圧により大きく低圧電力・高圧電力・特別高圧電力の3種類に分けられています。

高圧電力の定義
高圧電力は「直流で750ボルトを越え7000ボルト以下」、「交流で600ボルトを越え7000ボルト以下」と定められています。
低圧電力と特別高圧の中間に区分されています。

交流で600ボルト以下、直流で750ボルト以下の電圧は低圧に区分されます。交流と直流ともに7000ボルトを超える電圧が特別高圧となります。

高圧電力が利用される施設

高圧電力は、契約電力が50kW以上となります。

高圧電力を使用する施設
低圧電力では容量が不足する施設、例えば飲食店などの店舗や中規模のビル、学校や幼稚園などの施設、スーパーマーケット、工場などの施設に適しています。
また後述するように料金面で低圧電力よりも優位性があるため、比較的小規模の施設においても使用量が多い場合には、高圧電力が採用されることがあります。

高圧電力の供給方法

高圧電力で供給される電気は、低圧と同様に超高圧変電所から一次変電所、二次変電所などを経由します。

発電所から送配電線や変電所を経由して供給されることは、低圧電力と変わりません。参照:一般送配電事業者の解説

キュービクルが設置される
ただ高圧電力では、低圧電力で使用される柱上変圧器の代わりに「キュービクル式高圧受電設備(通称:キュービクル)」という変圧器によって電力が供給されます。

キュービクルを経由して供給されることが、低圧電力との大きな違いです。

高圧受電設備(キュービクル)

キュービクル
キュービクル

電力会社より高圧で供給され、需要家が安全に使用することができるように変換する設備は、日本工業規格JISC4620「キュービクル式高圧受電設備」で「高圧受電設備」と呼ばれるのが通例となっています。

「キュービクル」厳密には
厳密には、電力会社から供給を受ける受電点から電圧を変換するための変圧器までを「受電設備」、変圧器から負荷設備へ配電するための構成機器を「変電設備」と呼ぶのですが、一般的には「高圧受電設備」や「キュービクル」という名称が浸透しています。

以下、キュービクルという名称を使用します。

キュービクルとは、オフィスビルや店舗、工場、病院などの施設が独自に設置した自家用変圧器のことです。

高圧電力を使用するには、各々の供給地点にキュービクルを設置して電圧を下げなければなりません。

発電所から送られた6,600Vの電圧がキュービクルを経由することにより、100Vと200Vまで電圧を下げて電力を使用するのです。

キュービクルは維持費用が必要
新たに高圧電力を使用する際にはキュービクルの設置費用がかかります。またランニングコストとして人件費などの維持費を支払わなければなりません。
対して低圧電力に関しては、このような固定費はかかりません。

高圧電力のメリット

それでは高圧電力を利用するメリットはなんでしょうか。

低圧電力と高圧電力を比べると、1kWhあたりの電気単価は高圧電力の方が安くなります。

上記したように高圧電力は、低圧電力では必要ない固定費を支払わなければなりませんが、長期的に見ると高圧電力の方が電気に要する費用としては安くなるのです。

電気使用量が多い場所で採用される
特に高圧電力を利用する施設は、低圧よりも電気の使用量が多くなることが一般的です。そのため1kWhあたりの単価が安い方が電気代の削減効果を見込むことができます。

高圧電力の会社を変更

高圧電力の小売事業は、2004年・2005年に自由化されていますので、新電力事業者へ切り替えることができます。⇒新電力の解説

高圧電力は個別で見積もり
高圧電力の料金は、それぞれの需要家に対して個別で見積もりされるサービスです。従って相場料金が定まっておらず、各社による金額差が大きいことを特徴としています。

今まで他社との比較をして来なかった需要家は、変更することが大きくコストダウンすることができるかもしれません。

当社では、高圧電力の見積もり依頼を無料で承っています。電気代を安くしたいとお考えの法人様は、お気軽にご相談ください。

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低圧電力から高圧電力に変更

現在低圧電力を使用している施設が高圧電力に変更することも可能です。

ただしこの場合、上記したようなキュービクルの設置など物理的な問題をクリアする必要があります。

電気の使用量が多い施設の方は、高圧電力への変更するのもおすすめの選択です。ご相談は、上記から承っています。

高圧電力に関するQ&A

高圧電力とは何ですか?

高圧電力は契約電力50kW以上の事業者向けの受電方式です。工場やオフィスビル、大型店舗など、電力使用量の多い施設で採用されています。

高圧電力の契約は必要ですか?

契約電力が50kW以上になる場合は、原則として高圧電力での契約が必要です。ただし、設備の増強や事業拡大の計画がある場合は、50kW未満でも検討する価値があります。

高圧電力の導入費用はいくらかかりますか?

一般的な導入費用は設備費用で1,000万円前後、工事費用で300~500万円程度です。ただし、規模や立地条件により大きく変動する可能性があります。

どのくらいのコスト削減が期待できますか?

電力使用量や利用パターンにより異なりますが、一般的に年間の電気料金の15-30%程度の削減が期待できます。具体的な差額は、供給地点により大きく異なります。

高圧電力への切り替え手続きはどうすればいいですか?

電力会社への申請、受電設備の設置工事、電気主任技術者の選任など、複数の手続きが必要です。一般的な切り替え期間は3-6ヶ月程度です。

電気主任技術者は必ず必要ですか?

高圧電力の利用には、電気主任技術者の選任が法律で義務付けられています。自社で雇用するか、外部委託することもできます。

高圧電力を導入する際、どのような設備が必要になりますか?

高圧受電設備(キュービクル)、変圧器、保護装置などが必要です。設置場所の確保も重要な検討事項となります。

高圧電力設備の維持費用はいくらかかりますか?

年間の維持費用は、電気主任技術者の委託費用(月額2-5万円程度)、定期点検費用(年額10-20万円程度)などが発生します。供給地点の設備などにより金額は大きく異なります。

高圧電力のメリットは何ですか?

主なメリットは、電気料金の削減、電力の安定供給、設備増強への対応力、省エネ補助金の活用機会などです。

高圧電力のデメリットは何ですか?

初期投資の負担、設備の維持管理費用、電気主任技術者の選任義務、設置スペースの確保などが挙げられます。

高圧電力設備の寿命はどのくらいですか?

適切な維持管理を行えば15-20年程度の使用が可能です。定期的な点検と部品交換が重要です。

高圧電力を導入した際、停電時の対応はどうなりますか?

基本的に商用電源が停止すると受電ができなくなります。必要に応じて非常用発電設備の設置をご検討ください。

サイト管理者土勢育孝

この記事は、私が作成しました。

静岡県出身。エネルギー業界に10年以上携わり、特に都市ガスやプロパンガス、電力を専門にしています。またウェブサイトや記事も自身で作成します。ご意見や感想、指摘などありましたら、気軽にお寄せください。⇒著者情報

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