再生可能エネルギー発電促進賦課金の解説

このページでは、再生可能エネルギー発電促進賦課金について解説します。

【再生可能エネルギー発電促進賦課金の読み方:さいせいかのうえねるぎーはつでんそくしんふかきん」】

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、「再エネ賦課金」「再エネ発電賦課金」と略されることもあります。

再エネ賦課金は、毎月支払う電気代に含まれているのをご存知でしょうか?電気を利用する方すべてに関係のあるお金です。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは

再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)で電力会社が買い取る際に要した費用を、すべての電気使用者から集める制度です。

「再生可能エネルギーによる発電を促進するためのお金を、電気を使う皆さんから徴収する」目的で定められています。

わかりやすく言うと、「再生可能エネルギーの普及を進めるために皆さんでお金を負担しましょう」という主旨なのです。

再エネ賦課金はすべての電力利用者が負担する

法人・個人問わず支払う
再エネ賦課金は、電気を使うすべての方に対して平等の条件で課されます。個人や法人は関係ありません。
また一般家庭向けの低圧電力、工場など大型施設向けの高圧・特別高圧電力でも、例外なく同じ条件で支払うことが義務付けられています。

電気代の明細を見ると、再エネ賦課金〇〇円と記載されています。再エネ賦課金が「電気代の一部」に含まれているのです。

賦課金とは、本来「それにより恩恵を受ける方」が負担する金銭なのですが、再エネ賦課金に関しては、例外なくすべての電気利用者が負担しています。⇒賦課金の意味

全国すべての電気利用者が平等の条件

再エネ賦課金で徴収される金額は、電気の使用量に応じて決められます。

金額は電気の使用量に応じる
電気の使用量が多いほど支払う金額も多くなり、反対に少なければ再エネ賦課金の額も少なくなります。すべての方が同じ金額を支払うのではありません。

電気を使用している地域や環境は関係なく、電気利用料に比例するのです。

新電力でも同じ条件
再エネ賦課金は、新電力に切り替えているお宅も支払わなければなりません。
新電力と契約しているお宅にも、同じ条件で再エネ賦課金が徴収されます。
「どの電力会社と契約しているのか」は関係なく、全国すべての方に同じ条件で再エネ賦課金が課されます。

再エネ賦課金の計算方法

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(円/kWh)×1ヶ月の使用電力量(円/kWh)=支払う再エネ賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価の推移
再エネ賦課金単価
2018年度2.90円/kWh
2019年度2.95円/kWh
2020年度2.98円/kWh
2021年度3.36円/kWh
2022年度3.45円/kWh
2023年度1.40円/kWh
再エネ賦課金の単価は毎年見直しされる
再エネ賦課金の単価は、年度毎に経済産業大臣によって定められます。つまり一年に一度改定され、毎年5月分から翌年の4月分の電気料金に適用されます。

固定価格買取制度(FIT)

再エネ賦課金は、固定価格買取制度(FIT)を成り立たせるための制度です。

「FIT」とは
FITとは、「再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定の価格で買い取る」ことを国が約束したものです。

再生可能エネルギー発電は、近年取り組みに注力されはじめたばかりであり、実施するにはコストがかかります。

そのままの価格で販売すると、電力会社としては「今まで通りの方法で発電した電力の方が安い」となってしまいますので、国が支援金を出して再生可能エネルギーによる発電を勧めているのです。

再生可能エネルギー発電

再生可能エネルギーの定義はいくつかありますが、一般的には「自然の力を利用した継続可能な発電方法」を指しています。

具体的な発電方法は様々あるのですが、再エネ賦課金による支援対象としては、以下の5つが挙げられます。

再エネ賦課金で支援される再エネ発電
  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス発電

再生可能エネルギー発電を進める理由

なぜ再エネ賦課金の制度をつくってまで、再生可能エネルギーによる発電を進めるのでしょうか。

直面している環境問題
現在の地球上では、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量が、森林などによる吸収量を上回っている状態です。
この状態を継続していると、気温変動や海面上昇など人間が住む上で様々な弊害が生じてしまう恐れが懸念されています。

そんな中で世界の共通目標として温室効果ガスの排出を減らして、同時に植林などにより吸収量を増やすことが掲げられているのです。

カーボンニュートラル
日本政府としても、2020年に「2050年までに温室効果ガスの排出と吸収量をプラスマイナスゼロにすること」を目指すことを宣言しました。この状態を「カーボンニュートラル」といいます。
参照:資源エネルギー庁・カーボンニュートラルとは

また限りのある化石燃料からの脱却も大きな理由です。

世界的なカーボンニュートラルに向けた取り組みの中で、再生可能エネルギー発電に大きな力が注がれているのです。

再エネ賦課金で支払う額は増加している

一般家庭の1年間の再エネ賦課金支払額
一般家庭の1年間の再エネ賦課金支払額・四国電力

再エネ賦課金による補助があることが後押しして、再生可能エネルギーによる発電量は年々増加しています。

再エネ賦課金の額は増加している
再生可能エネルギーによる発電が普及するほど、電力会社が買い取る電気の量も増加、それに伴い皆さんが払う再エネ賦課金の額も増えています。

月間で支払う再エネ賦課金が1000円を超える家庭もあるなど、再エネ賦課金が家計を圧迫しているのではないかと疑問視する見方もあるのです。

そのような状況の中、2022年度には3.45円/kWだった再エネ賦課金単価が、2023年度には1.40円/kWhにまで下げられました。

再エネ賦課金は不公平?

再エネ賦課金の仕組みは、「再生可能エネルギー発電を始めようとしている人や、実際に行っている人」を優遇しています。

身近な例を挙げると、戸建住宅の屋根に太陽光パネルを設置しているお宅を見かけることがあります。

発電しているお宅を支援
個人宅で発電された電気でもFIT制度を利用することにより、電力会社は一定額で買い取ってくれるのです。
太陽光パネルを設置するには、最初にそれなりの費用を支払わなければなりません。ただ、その後に買い取ることを国が約束することにより、安心して初期費用を払うことができるのです。

一方で再エネ賦課金は、電力契約しているすべての方が負担するものです。

再エネ賦課金は不公平?
例えば集合住宅など、再生可能エネルギー発電をしていない方も負担しなければなりません。
一見すると再エネ賦課金の仕組みを不平等と感じる方がいるかもしれません。再エネ賦課金の制度がおかしいのではないかという指摘は根強くあります。

ただ「カーボンニュートラルを目指すことが必要」と国が定義している以上、「皆さんで負担する」という考えのもとで実施されています。地球上の問題として仕方がないと捉えるのが良いかもしれません。

また再エネ発電が進むことにより、日本のエネルギー自給率が上がります。海外からエネルギー資源を輸入する場合、どうしても海外情勢や為替レートの影響から価格が不安定になってしまいます。

国内で電力を地産地消できれば、取引される電気単価は安定します。再エネ賦課金制度は、全国民にとってプラスと考えることもできるでしょう。

再エネ賦課金は税金なのか?

また「再生可能エネルギー発電促進賦課金は税金ではないか」という指摘も少なくありません。

実質的に強制徴収されている
実際に再エネ賦課金は、電力契約するすべての顧客に課されるもので、電気代と一緒に強制的に徴収されます。消費者側が支払うかどうかを選択することはできません。

さらに言うと、再生可能エネルギーの導入が増えるほど、支払わなければならない金額も増えてしまいます。

「再エネ賦課金」という名称を用いていますが、実質的に税金と同じような仕組みになっているのです。

また上の項目で解説したように顧客が支払う再エネ賦課金の額は、年々増加しています。「実質的に増税されている」と捉えることもできるでしょう。

つまり再エネ賦課金という名前を用いて、実質的な増税を分かりづらくしているという指摘があります。確かに再エネ賦課金の存在を知らない方も多く、この指摘がまったく間違っているとは言えないでしょう。