固定単価型高圧電力料金

このページでは、固定単価型の高圧電力料金について解説しています。

固定単価は、グラフにすると平坦であることからフラットプランやフラットタイプと呼ばれることもあります。

固定単価型の料金は、高圧電力を利用する企業にとって安心で魅力ある料金プランです。

固定単価の高圧電力

固定単価制は、大きなメリットがあるプランですが、デメリットも皆無ではありません。

固定単価の解説をする前に、比較の対象となる市場連動型の料金プランについて触れておきます。

市場連動型単価の高圧電力

市場連動型グラフ・イメージ
市場連動型・イメージ

近年の高圧電力の料金は、市場価格にあわせて毎月単価が変動する形が多くなっています。これは市場連動型と呼ばれる料金プランです。

つまり小売事業者が電力を仕入れた価格の上下を、顧客に転嫁するのです。

これは仕入れ価格を料金に反映させることにより、事業者側を保護することを目的とした料金制度です。同時に市場価格が安くなった際には、消費者はその恩恵を受けることができます。
仕入れ価格の変動から事業者を保護する
日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っているため、世界情勢の変化や為替レートなどの影響から仕入れ価格が大きく変動するリスクがあります。
輸入価格の変化は、日本国内で取引される電力市場での価格に強い影響を及ぼします。

仮に仕入れ価格が高騰した際、顧客へ供給する電気料金が一定であったら、電力会社は大きな損失を被ってしまいます。
仕入れ価格を迅速に電気料金に反映することにより、予期せぬ燃料費の高騰から電力会社を守ることができるのです。

低圧電力では、市場連動型ではなく燃料費調整額を用いるのが通常です。一方で高圧や特別高圧では、電気の使用量が多くなるため市場連動型が多く採用されています。

燃料費調整額の高圧電力
高圧や特別高圧でも、低圧の従量電灯と同じように燃料費調整額を用いる料金プランを採用する事業者もあります。
この場合、市場連動制ほどの値動きはありませんが、燃料費が高騰した際には大きな金額を調整される可能性を秘めています。

市場連動単価は事業者を守る

2021年から2022年にかけて世界的な燃料不足の影響を受け、原料の輸入価格が高騰しました。その影響から日本国内で取引される電力の価格もかつてないほどに高騰してしまったのです。

資源エネルギー庁・エネルギー危機コラム

その結果、小売電気事業者が「電力を仕入れる価格」よりも「顧客に供給する価格」の方が安いという逆転現象が頻発してしまいます。

倒産・事業撤退する事業者が相次ぐ
高圧や特別高圧を供給している電力会社は、大ダメージを受けることとなり、倒産や事業撤退が相次いで起こることになります。
このような経験から、現在の高圧電力料金は、市場連動型が採用されることが増えています。

仕入れ価格が高騰した際には、その額を顧客とともに負担することができなければ、企業としては大きなリスクを負うことになるのです。

電力会社が市場連動型を採用するのはある意味で当然と考えられるでしょう。

市場連動単価のリスク

市場連動型の料金プランは、顧客にとって一定のリスクを伴っています。

市場単価が安い時には、適用される単価も下がりますので電気代を下げることができます。一方で市場価格が高くなった際は、そのまま高い単価を強いられることになるのです。

市場価格の高騰
価格が上下する振れ幅が想定の範囲内であれば良いですが、想定以上となってしまった場合には、とても高い料金になってしまう可能性があります。

上述したエネルギー危機の際にも、市場連動型プランは一般的に適用されていました。かつてない程の電気代を支払うことになった経験を持つ企業もあるでしょう。

市場価格は2023年以降、落ち着きを取り戻しているものの、季節や時間帯によってはかなりの高値をつけています。近年の市場価格を鑑みた際、市場連動型は顧客にとってリスクを伴っているのです。

固定単価の高圧電力

固定単価型グラフ・イメージ
固定単価型・イメージ

一方で固定単価とは、その名の通り「単価が変動しない」料金プランを指します。

単価が変動しない
市場連動型のように仕入れ価格に連動して変動するのではなく一定なのです。契約期間中に1kwhあたりの単価が変わることがありません。

固定単価は、電力会社側がリスクを負うことになるため、採用している事業者は多くありません。

固定単価のメリット

固定単価制のメリットは、単価が高騰するリスクがないことです。

変動単価は市場価格に応じて安くなる可能性がある一方で、高くなるリスクも同様に秘めています。

市場価格が上がった分を事業者が負担
対象的に固定単価は、一定の単価が適用されるため市場や輸入額の影響を受けることがありません。
仮に原料費や市場価格が高くなったとしても、その金額を小売事業者側が負担してくれるのです。

また固定単価を採用することにより、「今日の単価は高くないか」「今の時間帯は単価がいくらなのか」など、価格を気にすることなく電気を利用することができるのもメリットの一つです。

単価を気にせず電気を使いたい企業様は、固定単価制がお勧めです。

燃料費調整額がない
固定単価型は、市場連動型のように単価が上下しません。また燃料費調整額もありませんので、単価が安定することを特徴としています。
一方で再生可能エネルギー発電促進賦課金は加算されます。

固定単価のデメリット

固定単価制のデメリットは、市場価格が下がった際にメリットを享受できないことです。

単価に変動がない以上、高騰するリスクを回避することができる一方、下落した場合の利益を受けることができないデメリットもあるのです。

市場価格が安値基調にある時には、固定単価制で契約するメリットは少なくなります。

ただ2021年以降、日本国内の電力市場は市場価格が上がる傾向が強くありますので、メリットは多いと考えて良いでしょう。

固定単価の申し込み数は制限がある

固定単価型の料金プランは、市場連動型よりも人気があります。ただ固定単価を扱っている電力会社の多くは、契約者数に制限を設けています。

契約数に制限
固定単価の顧客を際限なく増やしてしまうと、万が一市場価格が想定以上に高騰した場合に自社が多大な損益を被ってしまいます。
電力会社側としては、市場の動向を綿密に分析した上で、申し込み希望を受けるかどうかを判断しているのです。

実際に適用される固定単価の額

固定単価制で実際に適用される基本料金や単価は、ケースバイケースで異なります。各社個別で見積もりを出しますので、固定単価にご興味をお持ちでしたらお問い合わせください。

電力会社は、市場価格が上下することを統計から計算した上で適用する料金を算出します。

小売事業者側は、価格が下落している際には問題ありませんが、市場価格が高騰した際でも顧客に適用する料金を上げることができません。

従って固定単価の料金は、通常よりも高めに設定されることになります。

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固定単価の契約期間

固定単価の契約期間は1年間が一般的です。

単価を固定することは、電力会社側がかなりのリスクを負うことになりますので、複数年にわたり同じ単価を保障することは通常ありません。

複数年契約のご相談もお受けできますが、単価に関しては1年毎に見直すという契約内容になるでしょう。