高圧電力の市場連動型単価

このページでは、高圧電力の市場連動型単価について解説しています。

市場連動型単価は、近年採用される機会が増えている単価制度です。メリットが大きい一方でデメリットもあります。

当社では、市場連動型プランへの申し込みを承っています。高圧や特別高圧を利用している法人様は、ぜひご検討ください。

市場連動型単価とは

市場連動型グラフ・イメージ
市場連動型グラフ・イメージ

市場連動型単価は、「電気料金の1kWhあたりの単価」が市場価格に連動する形で上下する仕組みを指しています。

日本国内で使用される電気は、JEPX(日本卸電力取引所)で売買されています。JEPXは、日本国内で唯一電気が取引されている市場です。

市場連動型の「市場」は、JEPXを指しています。

JEPXの取引価格に連動する
JEPXで取引される単価に連動して、顧客に供給する単価を決める仕組みが市場連動型と呼ばれる料金体系なのです。

自社で発電所を持たない電力小売会社は、基本的にJEPXで電気を購入して顧客に供給しています。発電所を持つ企業であっても、JEPXで電気を売買することは珍しくありません。⇒JEPX(日本卸電力取引所)のホームページ

JEPXは会員でなければ取引できない
JEPXで電気の売買を行うためには、会員でなければなりません。
会員には、取引会員と特別取引会員があります。
特別取引会員は、一般送配電事業者を指しています。取引会員は、280社以上あり一定規模以上の大企業が名を連ねています。
参照:JEPXの取引会員

高圧電力は自由料金制

前提として高圧電力の料金は、自由料金制です。

一般的に市場連動型プランは、上記のように「JEPXの単価」を「顧客に供給する単価」に反映するプランを指していますが、詳細は各社によって様々です。

JEPXの単価に自社利益を乗せる
基本的に市場連動型の料金は、JEPXの単価に自社の利益を一定の割合で加えて顧客へ販売しています。上乗せする割合に関しては、電力会社によって違います。

また市場連動型の場合、通常は燃料費調整制度による毎月の調整はありません。単価が変動するので、燃料費調整をする必要がないのです。

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)に関しては、どの電力会社と契約しても必ず支払います。⇒再エネ賦課金の解説

30分毎に単価が変動する

JEPXでは、主に電力取引と非化石価値取引が行われています。

JEPXの電力取引の種類
電力に関しては、
  • 一日前市場(スポット市場):翌日の電気を取引する市場。30分毎に区切って取引が行われる。
  • 当日市場:当日の電気を取引する市場。急な需要増加など緊急時の電気を取引する。
  • 先渡市場:将来の電気をあらかじめ取引しておく市場。主に価格高騰に備えたリスクヘッジとして利用される。
など様々な形で電気が取引されています。

市場連動型単価でいう「市場」は、一日前市場(スポット市場)を基にすることが通常です。

30分ごとに取引価格が変動
スポット市場では、「翌日の電気の受け渡し」が行われます。24時間を30分毎に48分割して各時間区分で単価が決められます。つまり電気の単価が30分毎に変わります。

市場連動単価が採用される訳

かつて高圧電力の単価は、金額が固定された上で毎月燃料費調整が行われる形が一般的でした。

しかし2021年頃から世界的なエネルギー危機が発生したことで状況が一変しました。

燃料の輸入価格が高騰したことにより、連動して日本国内の取引価格も高騰、これにより電力会社は大ダメージを受けました。

エネルギー危機により電力会社が大打撃を受ける
最悪のケースでは、JEPXで取引される電気単価が、顧客へ販売する単価よりも高いという逆転現象が起こりました。
つまり電力会社としては、電気を販売するほど赤字になってしまうような事態が起こってしまったのです。
変動額を顧客へ転嫁
電力会社は、単価を固定してしまうと契約を結んでいる期間は、その単価で顧客へ供給しなければなりません。電力会社としては、JEPXの取引価格が高騰した際に上記のようなリスクを秘めているのです。

一方で市場連動型単価を採用した場合、単価が上がった分を顧客に転嫁することができます。

JEPXの単価に自社の利益を一定の割合で含み顧客へ販売することで、市場価格高騰のリスクを回避できるのです。

日本は資源に乏しい国

もともと日本は、資源に乏しい国でありエネルギーの多くを輸入に頼っています。中東アジアをはじめとして、エネルギー資源輸出国の中には、情勢が不安定な国が少なくありません。

世界情勢を的確に予想することは不可能であり、輸入価格が跳ね上がる可能性を常に秘めています。

電気の取引価格は大きく変動する
実際にJEPXの単価は、未だ大きく値上がりすることもあり、予測することが難しい状態です。
特に高圧や特別高圧は電力使用量が多いので、単価を固定することは小売事業者にとって大きなリスクになるのです。

このような理由から現在の高圧電力業界では、市場連動型単価を採用する企業が増えています。

新電力系で多く採用されている
JEPXで電気を調達するのは、主に自社の発電所を持っていない電力会社です。
東京電力など地域の一般電気事業者は、国内に発電所を複数構えています。足りない分や緊急時などでJEPXで購入することはありますが、市場からの調達頼みではありません。
市場連動型単価の採用は、自社の発電所を持たない新電力系の事業者に多く見られます。
新電力の解説

市場連動型単価のメリット

顧客にとって市場連動型単価で契約するメリットはなんでしょうか?

市場連動型では、取引価格が下落した際に電気単価を安くすることができます。

上述した通りJEPXの単価は30分毎に変動します。

需要が少ない時に取引価格は下がる
スポット市場は、一般的に夕方(17時~21時前後)の電気使用量が増える時間帯に上がる傾向にあります。逆に深夜帯や午前中は、下がる傾向にあります。
また季節で見ると、電気の需要が増える夏や冬は全体的に高くなり、春秋は安くなる傾向です。

スポット価格は、時間帯によって差が激しくかなりの安値を付けることも少なくありません。

市場連動型プランがお勧めの法人
  • 電気を主に使用する時間帯をコントロールできる
  • 深夜や日中などスポット価格が安い時間帯に電気をメインで使用する業種
このような法人には、市場連動型プランがお勧めです。

料金の透明性が高い

現在の単価がいくらなのかは、電力会社またはJEPXのホームページで確認することができます。

つまり「今が電気単価が高いのか安いのか」を自社で把握できるのです。

料金が透明化される
一般に公開されているJEPXの単価を指標としていることは、すなわち透明性が高いと言えるでしょう。
電気料金がどのように決められているのか明確に知りたい法人様は、市場連動型プランを選択するのが良いかもしれません。

最終保障供給を受けている企業

エネルギー危機の影響で、一般送配電事業者による最終保障供給契約を強いられている企業様も多くいらっしゃるでしょう。また料金などのトラブルで意図せず強制解約の案内を受けてしまった企業もあるかもしれません。

高圧電力や特別高圧を取り扱う電力小売事業者数が減りましたので、移行先が見つからない需要家も少なくないでしょう。

最終保障供給からの切り替え
最終保障供給は、高めの料金に設定されています。
現在、最終保障供給を受けている企業様は、市場連動型単価に変えることによって電気代を大きく安くできるでしょう。
参照:最終保障供給の解説

その他、契約中の電力会社から大幅な値上げ通知を受けた企業などは、市場連動型単価へ切り替えをご検討ください。

市場連動型単価プランに申し込む

当社では、市場連動型の高圧・特別高圧の申し込みを承っています。

申し込みを検討している法人様は、お気軽にお問い合わせください。最終保障供給からの変更や他社からの切り替えなど、どのような状況でもご相談を承ります。

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市場連動型単価のデメリット

市場連動型単価のデメリットは、単価が予想以上に高騰してしまうリスクがあることです。

単価が高騰するリスク
2023年以降、JEPXの取引単価は以前と比べて安定してきたものの、時間帯によっては未だ高値をつけることあります。「市場連動単価は危ない」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

市場連動型では、単価の上限を想定することが難しいため、電気代が膨れ上がってしまうリスクを秘めているのです。

先のエネルギー危機の際に市場連動型プランで契約していた中には、「今までで最も電気代が高かった」法人様も少なくないでしょう。

特に時間帯に関わらず使用するなど「電気をなるべく使わないようにする」コントロールが難しい企業様は、市場連動型を避けた方が良いかもしれません。

固定単価型の高圧電力

固定単価型グラフ・イメージ
固定単価型グラフ・イメージ

当社では、市場連動型以外に固定単価型(燃料費調整制度もない)の高圧電力プランを取り扱っています。

固定単価型では、契約している期間中に単価が変わることはありません。安くなることもなければ高くなることもないのです。

「市場価格の高騰が心配」という法人様は、固定単価型プランをご検討ください。⇒固定単価型の高圧電力料金