小売電気事業者の解説

このページでは、皆さんの生活に関わりの深い小売電気事業者についてわかりやすく解説しています。

お引越し先の小売電気事業者がわからないという方も調べ方について記載しています。

小売電気事業者とは

小売電気事業者とは、電気の小売事業を営む事業者のことを言います。

わかりやすく言うと「消費者に電気を売る会社」と考えて良いでしょう。

「発電」「送配電」「小売」
電気事業は大きく「発電」「送配電」「小売」の3つに分けられます。この内の小売を行うのが小売電気事業者で、電気事業法によって条件が定められています。
小売電気事業者は、消費者と直接供給契約を結ぶ会社ですので、電気を使うためには小売電気事業者と契約を結ばなければなりません。

自家発電などですべての電気を賄っている方以外は、小売電気事業者と契約を結ぶ必要があります。皆さんにとって、とても身近な会社なのです。

小売電気事業者の例

小売電気事業者の大手としては、

などが挙げられます。

新電力では、

など様々な会社が電気の小売事業を行っています。

小売電気事業は登録制

企業が小売電気事業を営むためには、事前に経済産業省へ登録しなければなりません。

人々にとって電気は、生活をする上で最も重要となるインフラです。小売電気事業者の倒産や撤退などが頻発するようでは、国民生活に支障をきたしてしまうでしょう。

どんな企業でも電気を売って良いのではなく、設けられた審査基準をクリアした会社でなければ小売電気事業者になることはできないのです。

小売電気事業者の登録申請

小売電気事業へ登録するには、様々な書類を提出しなければなりません。

小売電気事業の登録申請

小売電気事業者の条件
電気の小売事業は、スイッチングと呼ばれる他社からの切り替え手続きや一般送配電事業者との託送供給契約締結など、様々な業務を行うことが必要です。
また顧客からの苦情など問い合わせを受ける体制を整える必要があるほか、万が一の損害賠償請求に対応できる企業資産があることも条件となります。

その他、登録後の事業計画を求められるなど、ハードルは決して低くありません。

それなりに信頼性の高い会社でなければ、小売電気事業者として登録できないようになっているのです。

小売電気事業者の数

現在、700を超える企業が小売電気事業者として登録しています。

登録小売電気事業者一覧

全国的に展開している事業者もあれば、一部地域に限定して事業展開している企業もあります。お住まいの地域によって選択できる事業者が異なることに注意が必要です。

また一般家庭向けの低圧電力のみを取り扱う事業者がメインですが、高圧や特別高圧事業を行う会社もあります。

新電力事業者

数多くある小売電気事業者の中で、その地域の一般電気事業者(東京電力や関西電力など10社)の系列を除く事業者は、「新電力事業者」と呼ばれています。

新電力事業者
小売電気事業者と新電力事業者は、意味としては似ていますが厳密には少し異なります。新電力については、別ページで解説しています。
新電力の解説
一般電気事業者
  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 東京電力
  • 中部電力
  • 北陸電力
  • 関西電力
  • 中国電力
  • 四国電力
  • 九州電力
  • 沖縄電力

小売電気事業者を調べる

これから引越しなど、管轄している小売電気事業者がわからない方は、どうすれば良いでしょうか。

正確に言うと、小売電気事業者は数百社ありますので一般電気事業者(10社)です。

一般電気事業者の管轄区域は、都道府県単位で区切られていることが多いですが、そうではないことも多々あります。

都道府県単位で区切られているとは限らない
東京電力の例では、東京都・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・山梨県の全域が東京電力エナジーパートナーの管轄区域です。
静岡県は、富士川を境に東が東京電力エナジーパートナー、西が中部電力ミライズの管轄になっています。

管轄する電力会社を知りたい方は、一般送配電事業者ページに管轄区域の情報を掲載しています。⇒一般送配電事業者

電力小売事業はかつて独占だった

かつて日本国内の電気小売事業は、独占供給が認められていました。

独占供給だった電気の小売
例えば東京都で電気を使いたい場合には東京電力、大阪府では関西電力など、その地域で定められた一般電気事業者と契約するしか選択肢がなかったのです。

これは「信頼性の高い会社のみに電気の供給を任せる」という考えから定められた制度です。

信頼できる1社にだけ小売りを許可する
「電気を供給する会社が突然倒産してしまった」など、不測の事態が起こり国民が電気を使えないという最悪の状況にならないように、小売事業の独占を認めていたのです。
日本がまだ発展途上であった頃の考え方に沿った決まりです。

電力小売事業自由化

しかし経済が発展するとともに独占供給に疑問が持たれるようになりました。

独占供給では、安心が得られる一方で企業間の競争が生まれないため、料金を含めたサービスの向上を進める動きが見込まれないなど、デメリットがたくさんあるのです。

自由化を求める考えが主流に
日本が経済発展を遂げたことにより「一般電気事業者以外に参入を認めても一定水準の安心を確保できる」「競争がないのは、消費者にとって不利益になる」という現代的な考え方が主流になっていきます。

最初に自由化されたのは、もっとも電圧が高い特別高圧です。2000年3月に先駆けて特別高圧の小売事業が自由化されました。

その後、高圧電力が2004~2005年に自由化されます。

そして2016年4月に低圧電力の小売事業が自由化されるに至ります。これにより日本国内の小売電気事業は、全面的に自由化されました。

発電と送配電と小売

発送電分離
東京電力グループの会社はその他にもたくさんあります

かつては地域の一般電気事業者が発電所を持ち、送配電から小売事業まで一貫して行うことが通常でした。

例えば北海道電力や九州電力など地域の大手会社が発電から小売りまでを行っていたのです。

自由化の影響で事業を分離
そのような状態から、発電と送配電の分離(発送電分離)が進められるとともに、小売事業の自由化の動きが相まって、小売事業専門の会社を設立する大手電力会社が増えています。

例えば東京電力であれば東京電力エナジーパートナー、中部電力は中部電力ミライズなど「小売専業」の企業が増えています。ただ関西電力など小売事業を分社していない大手電力会社もあります。

「発電と送配電」に関しては、沖縄電力の例外を除いて分離が義務化されているのですが、小売に関しては今のところ義務とはされていません。⇒一般送配電事業者

電気と都市ガスなどをセット販売

電力会社が小売事業を分社化するには理由があります。

分社することで電力以外の事業に対しての取り組みが、柔軟且つ迅速に行うことができるのです。

例を挙げると、2017年に自由化された都市ガス事業があります。

電力会社がガス小売事業に参入
都市ガスの小売事業もこれまで独占供給が認められていましたが、電力とともに自由化が検討され2017年に自由化が解禁されました。
現在、一般電気事業者の多くは、都市ガスの小売事業にも参入しています。電気と都市ガスをセットで販売して利益を上げる、顧客を囲い込む狙いがあるのです。

小売の専業会社があることで、このような柔軟な企業戦略を迅速に判断・進めることができるというメリットがあります。参照:都市ガス料金比較サイト

小売電気事業者から解約通知が来たら

小売電気事業者(新電力事業者)は、社会情勢などの影響から電力事業からの撤退や会社の解散をする可能性があります。

新電力の事業撤退など
小売電気事業者は、厳しい審査を経ているとはいえ会社である以上、このような事例が少なからず起こってしまいます。このようなことは、自由化によるデメリットの一つです。
小売電気事業者が契約解除するとき
小売事業者が事業撤退する場合、契約している顧客へ「電力供給の契約を解除する」旨の連絡が届きます。逆に顧客側が電気代の滞納などを行った場合でも、同じような解除通知が届くことになります(強制解約)。

エネルギー危機の影響

エネルギー危機
電気の仕入れ価格がかつてないほど高騰

2021から2022年にかけて、世界的なエネルギー危機の影響を受けて燃料価格が上昇しました。それを受けて発電コストが上昇、そして日本国内の電力取引市場の価格が史上空前の高騰を見せました。

特にこの時期には、倒産や事業撤退する事業者が多発したため、上記のような経験をされた方もいるかと思います。比較的大きい新電力事業者が倒産する事例もありました。

電力会社からこのような通知が届いた際、放置してしまうと電気が使えなくなってしまいます。

値上げを実施した電力会社が多い
エネルギー危機の影響で事業撤退していなかったとしても、値上げ(料金改定)を行っている事業者が多くあります。
これは地域の大手電力会社も同様です。全体的に現在の電気料金の水準は、コロナ渦以前よりも上がっています。

低圧電力の場合

一般家庭の方は、速やかに新しい小売電気事業者へ申し込みの連絡をしましょう。

速やかに新しい電力会社と契約
絶対的な安心を求めるのであれば、東京電力エナジーパートナーや関西電力など地域の一般電気事業者系列が良いですが、安さを求めるのであれば他の新電力会社に変更することをお勧めいたします。

高圧電力の場合

高圧や特別高圧を使用している企業様の場合でも同様で、新電力事業者へ申し込み可能かどうかをご確認ください。

高圧・特別高圧の申し込み
高圧電力申し込みの相談は、当社でお受けしております。現在、高圧電力事業に参入している新電力事業者が少なからずあります。新電力事業者の方が最終保障供給よりも安く利用することができます。

もしも新電力事業者との契約を避けたい方は、地域の一般送配電事業者最終保障供給を行っていますのでそちらへ申し込みましょう。

ただし最終保障供給の料金は高めに設定されていますので、十分に注意が必要です。

無料見積もり依頼
電話問い合わせ